ポスター発表プログラム

6月21日 16:55-18:35 ポスター・セッション1
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[P1] クラフトバンド工作のためのデザイン支援システム

*五十嵐 悠紀(明治大学)

概要
本稿ではクラフトバンドを対象として,初心者が手軽に思い通りのクラフトバンド工作をデザインできるような支援システムを提案する.クラフトバンドは,紙であり制作時に試行錯誤がしづらい素材であるが,本システムを使用することで試行錯誤をシステム内で行うことができ,初心者でもイメージをつかんでからオリジナルデザインを制作することができる.

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[P2] パッチ合成に基づく詳細な動きを保持した流体の流れの変形

*佐藤 周平(ドワンゴCGリサーチ),土橋 宜典(北海道大学/ドワンゴCGリサーチ),櫻井 快勢(ドワンゴCGリサーチ),西田 友是(広島修道大学/ドワンゴCGリサーチ)

概要
リアルなCG映像作成のために物理シミュレーションがよく用いられる.しかし,その膨大な計算コストから,映像制作にかかる時間の増加が問題となっている.この問題に対し,流体シミュレーション結果の後処理的な編集を可能とし,映像制作時間を削減するための方法が提案されている.これらの中でも流れの変形手法では,流れを一度流れ関数と呼ばれるものに変換することで,高速かつ物理法則を保って流れを変形できる.しかし,変形結果が完全に発散0となる利点がある一方で,入力の流れが完全に発散0でない場合,流れ関数への変換により速度の発散成分が失われ,見た目が変化してしまう場合がある.特に流れの高周波成分が失われてしまうことを実験により確認した.また,変形により詳細な動きの分布が変化し,元の流れとは見た目の印象が変わってしまう場合もある.そこで本稿では,流れの低周波成分のみを従来の変形手法により変形し,高周波成分についてはパッチベースのテクスチャ合成により,変形後の流れの分布に最も近い変形前の高周波成分を探索,合成する.本稿では2次元での実験結果について報告する.

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[P3] 3D プリンタ埋め込み光ファイバー型導光路を用いたアクティブマーカによる動的プロジェクションマッピング゙

*刀根大樹(大阪大学), 岩井 大輔(大阪大学), 日浦 慎作(広島市立大学), 佐藤 宏介(大阪大学)

概要
動く物体を投影対象とするプロジェクションマッピングでは, 投影対象をカメラなどでセンシングしその位置姿勢をリアルタイムに推定する必要がある. 投影像を投影対象に正確に位置合わせするには, 高フレームレート低遅延の位置姿勢計算が求められるため, 投影対象にマーカを設置し計算を単純化させる手法が研究されている. しかし、従来手法ではマーカのID識別のためにマーカに空間的なパターンを持たせていたため, 曲率の高い面に設置するとパターンが崩れて識別できなかった. そこで, 高曲率面を持つ投影対象に対応したマーカベース動的プロジェクションマッピングを実現することを本研究の目的とし, 点滅によりIDを転送するアクティブマーカを用いる手法を提案する. ID表現に時間変化を用いるため, 変形の影響が少ない小型のマーカを利用できる. 提案手法では, アクティブマーカ取り付け位置の誤差と回路設置の手間を省くために, マルチマテリアル3Dプリンタを用いた光ファイバー型導光路埋め込み技術を応用する. 3D印刷時に, 光を投影対象表面へ伝達させる導光路を投影対象内部に埋め込み, 赤外LED回路を投影対象の底に設置することで任意の表面がアクティブマーカとなる.

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[P4] インタラクティブな貝殻の手続き型モデリング

*田宮聖之(北海道大学), 土橋宜典(北海道大学), 山本強(北海道大学)

概要
現在, 多く用いられる CG の使用には 3D モデルの作成 が必要不可欠であるが, 3D モデルの作成には技術や時間が 多く必要とされるため, 自動で 3D モデルを生成するため の技術として手続き型モデリングという手法が用いられて いる. その一例として, Prusinkiewicz の提案する貝殻の形 状のモデリング手法 [1] にユーザーインターフェースを導 入したインタラクティブなモデリングシステムを提案する. このシステムでは UI の操作により貝殻の形状を決定する 各パラメータを調節することで, 自在に貝殻の形状をモデ リングすることができる.

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[P5] 多重重点的サンプリングを用いた蛍光物質のスペクトラルレンダリング

*山本 亘(広島大学),Bisser Raytchev(広島大学),玉木 徹(広島大学), 金田 和文(広島大学)

概要
近年,様々な分野で蛍光物質を使った演出が注目されている.設計の際に,蛍光物質が含まれるシーンをレンダリングし事前に検討を行うことが重要となる.蛍光現象は波長依存性の高い光学現象であるため,RGB レンダリングではなくスペクトラルレンダリングによってレンダリングする必要がある.スペクトラルレンダリングは,物理的に正しくシミュレーションが行えるが,RGBレンダリングと比べて計算コストが高くなってしまう.現在,様々な物体の存在するシーンをレンダリングすることができるようになってきている.しかし,グローバルイルミネーション環境下での蛍光物質のレンダリング手法は未だ確立されていない.本研究ではグローバルイルミネーション環境下での蛍光物質のスペクトラルレンダリング手法を開発する.その際,効率的な波長サンプリング法を検討する.

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[P6] イラストスタイル画像への顔特徴の反映による似顔絵生成

*小松 璃子(お茶の水女子大学), 伊藤 貴之(お茶の水女子大学)

概要
近年,人物の似顔絵を生成するウェブサービスが流行しており,SNS上で顔写真を公開せずに自身の特徴を伝える手段として広く普及している.本研究では,これらのサービスのように「写実的に人物の顔の特徴を表現するのではなく,知人には判別してもらえる程度に特徴をとらえた似顔絵」を,好みのイラストスタイルで自動生成する一手法を提案する.本手法ではイラストスタイル画像に対して顔写真に合わせたパーツ変形と髪型合成を適用することで,スタイル画像の個性と顔写真の個性を両立した似顔絵を生成する.

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[P7] 肌微細構造のCG表現の高速化

*安江志織(お茶の水女子大学), 伊藤貴之(お茶の水女子大学),豊田成人(資生堂)

概要
我々は肌微細構造をCGで表現する研究に取り組んでいる.この研究では皮溝・皮丘・毛穴をポリゴンモデルとして表現している.しかし,ポリゴン生成の所要時間とデータ量が大きいことが問題となっていた.そこで,微細形状を法線マッピングと変位マッピングによるシェーダープログラミングにより表現し高速化することを試みた.本報告では,2つのCG手法を用いた肌微細構造の表現結果について報告する.

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[P8] 画素ごとの編集量を利用したメトロポリス光輸送法による効率的再生成法

*山口智也(早稲田大学),谷田川達也(早稲田大学),森島繁生(早稲田大学)

概要
多くのレンダリング手法は,映像シーンを一からレンダリングすることを目的とする. しかし, 実際の映像制作の現場では, シーンを構成する物体の材質等を調整することが頻繁に発生するため一から再度レンダリングすることは非効率である. 編集前の高品質な描画結果を再利用し再レンダリングを効率化するいくつかの研究が行われてきたが, これらは描画に必要なサンプルを画像平面上で一様に生成しており, 計算資源を最適化しているとは言い難い. 本研究でシーン編集におけるサンプルの重要度と, メトロポリス光輸送法のサンプル生成法に注目し, 編集前後で変化のある画素にサンプル経路を集中させることで, 高品質なシーン編集後の描画を達成する手法を提案する. 本稿では,いくつかのシーンに対して同様の計算時間でより従来法より高品質な画像が得られることを示す.

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[P9] 様々な天空照明条件で変化するカラーパレット

*石田ゆい歩(東京工業大学), 齋藤豪(東京工業大学)

概要
朝・夕方・晩や春夏秋冬、天気などにより、天空照明は細やかに変化する。アニメーション制作での色指定の参考となるように、現実世界に即した季節感および時間の感覚を反映したカラーパレットを生成する。具体的な方法としては、太陽光モデルを用いて、ユーザ任意の周囲の大気状態、地理的、時間的条件といったさまざまな要素の入力から天空光を算出し、カラーパレットの反射光からの色を計算して示す。

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[P10] CG制作における作業過程のモデル化に関する検討

*阿部修平(早稲田大学), 坂井滋和(早稲田大学)

概要
本研究では、モデリングの作業を単純な作業の複合として捉え、個々の作業の数理モデル化を行い、その作業過程自体をモデリングデータの中に含める提案を行う。これによって、モデリング作業を任意の段階からやり直すことが可能となり、複雑な形状モデルの修正や変更が容易になると考えた。この方式の有効性を検証するために、単純な作業の積み重ねによって複雑な形状生成を行うことができる典型的な例として、現実世界における折り紙の制作過程を事例として用いた。

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[P11] お絵描きi-Can / "Toyota City Creation" : お絵描きで乗り物三次元CGを作成するコンテンツ

*水野 慎士 (愛知工業大学)

概要
お絵描きは小さな子供でも気軽に楽しめるアートであり,近年はお絵描きとCG技術等を組み合わせたデジタルコンテンツがイベント等で大きな注目を集めている.その一例として,本稿では乗り物に関するイベント向けに筆者が開発した2つのコンテンツ"お絵描きi-Can"(電車)と"Toyota City Creation"(自動車)について,コンテンツ概要,実現方法,イベント実施などを報告する.

6月22日 17:20-19:00 ポスター・セッション2
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[P12] 大規模災害発生時における被災状況把握のための多重解像度データベースの構築

*加藤滉一朗(静岡大学), 小林嵩明(静岡大学), 鈴木晶(静岡大学), 臼杵深(静岡大学), 小林祐一(静岡大学), 三浦憲二郎(静岡大学)

概要
大規模災害が発生した場合には,迅速な被害状況の把握が求められる. 人が立ち入ることのできない場所でも,無人航空機を利用して情報を収集することができる.事前に取得した情報と無人航空機から取得した情報とを比較することにより,被害状況を検出する. 本研究では,大規模地勢データから多重解像度データベースを構築する方法を提案するとともに,データベースの効率的な更新手法を提案する.

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[P13] 液体の局所的な再シミュレーションにおける適応的な領域拡張

*加地佑季(東京大学/ドワンゴCGリサーチ), 佐藤周平(ドワンゴCGリサーチ), 櫻井快勢(ドワンゴCGリサーチ), 西田友是(広島修道大学/ドワンゴCGリサーチ)

概要
流体アニメーションでは,リアルな映像の作成には膨大な計算時間を要するという問題がある.これを解決するため,近年,計算済みのシミュレーション結果の一部領域のみを条件を変えて再度シミュレーションする手法が提案されている.しかし,従来手法では,再シミュレーション領域の大きさと位置は常に固定であり,領域を狭く取りすぎると領域境界で界面位置のずれが生じるという問題があった.そこで我々は,時間毎に適応的に領域を拡張することで破綻が生じるのを防ぐ手法を提案する.さらに,この手法では,各ステップについて最適な大きさの領域を確保するため,従来に比べ使用メモリと計算時間を低減できることが期待される.

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[P14] Loiterer Retrieval and Visualization using Entropy Model

Maguell L.T.L. Sandifort (Utrecht University), *劉 健全 (NEC), 西村 祥治 (NEC), Wolfgang Hürst (Utrecht University)

概要
Surveillance cameras can be used to detect loiterers. However, fully automated detection is challenging. Human operators are very effective at detecting suspicious behavior, but have trouble with focusing on many cameras at the same time. We present a method [1] that analyzes loitering behavior across multiple cameras. It then provides a list of loiterer candidates based on three different loitering characteristics. In addition, we present our system VisLoiter+ [2], which provides the operator with several information channels on these candidates. With this the human operator can easily determine who the actual loiterers are.

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[P15] フレーム間の連続性を考慮した人物姿勢推定法の堅固化

*新野大輔(芝浦工業大学), 井尻敬(芝浦工業大学)

概要
近年,深層学習により動画像内の人物姿勢推定を行う研究が数多くなされている.しかしこれらの研究の多くは,フレーム間の連続性を考慮していないため,身体部位が振動する結果が得られてしまうという問題がある.そこで本研究では,特にスポーツ練習解析を主な目的とし,スポーツシーンを撮影した高速度動画像に対し,フレーム間の滑らかさを保ちながら人物姿勢推定を行う手法を提案する.具体的には,既存手法を用いて推定した各フレームにおける身体部位のヒートマップ画像に対しエネルギー最大化問題を解くことで,身体部位の移動量が少なく,ヒートマップ画素値ができるだけ大きくなるような身体部位位置を推定する.提案手法の効果を調査するために,素振りシーン動画に対し従来手法と提案手法による人物姿勢推定結果の比較を行った.提案手法は滑らかな身体部位の移動が推定されており,フレーム間の連続性を考慮するため,体が交差するシーンなどの姿勢も比較的堅固に推定可能であることを確認した.

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[P16] アニメータ技法に基づく髪のなびきのデジタル再現

*片岡 直映(東京理科大学),石川 知一(東洋大学,ドワンゴCGリサーチ),亀田 裕介(東京理科大学),松田 一朗(東京理科大学),伊東 晋(東京理科大学)

概要
近年,手描きによる作成が当たり前であったアニメーション制作において,NPR技術を応用することによって,人的・時間的コストの削減がなされている.NPR技術の応用例の1つとして,アニメキャラクタが描かれた静止画を入力とし,キャラクタの髪をなびかせる研究や製品が存在する.しかし,既存手法によって作成されたアニメーションは,手描きのアニメーションと比較して違和感を覚えることが多い.既存手法ではアニメータの手法を考慮しておらず,手描きアニメーションに近付けるためには,多大な作業時間や製品を扱う高い技量が必要になる場合が多い.そこで,アニメータが髪のなびきを描くときに用いる手法をプログラム上で再現し,既存手法に比べて少ないパラメータを用いてセルルックアニメーションとして違和感のないアニメーションを生成する方法を検討する.

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[P17] 3次元人体姿勢推定によるスポーツトレーニング支援

*山本拓弥(広島市立大学),掛谷大登(広島市立大学),馬場雅志(広島市立大学),日浦慎作(広島市立大学)

概要
スポーツや運動において,能力向上やスランプ脱出のためにフォームを改善することが重要である.しかし,正しいフォームを定着させるには専門的な知識が必要であり,指導者がいない場合にフォーム改善の練習効率が良くないという問題がある.この問題に対し,本研究ではライブラリOpenPoseによって学習者・教示者の人体を検出し,検出したデータにステレオ画像法を適用することで,3次元モデルを生成する.それらのモデルの比較を行うことにより単独でフォームの改善を行うことが可能な手法を提案する.

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[P18] 格子細分割による布のよれ付与

*史 発(東京工業大学)、齋藤 豪(東京工業大学)

概要
布のよれは、繊維の物質的な特徴を表す現象であり、服の表現に現実感を与える。しかし、3Dモデルによれを付与するためには、繊維や衣服に関する知識と経験が必要となり、初心者が自然なよれを付与するのは困難である。そこで我々は、ユーザの入力とクロスシミュレーションを用いることで、自然なよれを手軽に付与する手法を提案する。提案手法では、まず単純な3Dモデルに対して、ユーザによれを発生させたい場所の面積を編集してもらい、よれのおおよその形を与える。その後、クロスシミュレーションを行うことによって、自然な、「布らしい」よれを生成する。ユーザが面積を編集するにあたって、布を構成する格子の再分割を行う。提案手法の実験を行い、本手法が自然なよれを付与するのに有用であることを示す。

6月23日 14:15-15:30 ポスター・セッション3
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[P19] ディジタルペンとドットスクリーンによる三次元CG筆記の顔美容における検討

*丸山華江(東京電機大学), 岡芳樹(鈴鹿工業高等専門学校), 岩田英三郎(ユニバーサルロボット株式), 鈴木和雄(大日本印刷株式会社), 長谷川誠(東京電機大学)

概要
顔写真3枚(右・左・正面)を撮影し,既成の3次元形状モデルにマッピングすることによって顔のCGモデルを生成する.微小なドットが印刷されているスクリーンに3次元CG画面を投影し,ディジタルペンで筆記する.ディジタルペンの先端に装備されているカメラで微小なドットを読み取り,スクリーンにおけるペン先の2次元座標,さらにCGにおける3次元座標を算出することによって3次元CGへの筆記を可能とする.美容整形の現場において,医師が患者の顔立体モデルに筆記しながら治療を検討するシステムを検討する.

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[P20] スタイル変換技術を用いて写真をイラスト化するためのワークフロー

杉山拓海(静岡大学),*朝倉康弘(静岡大学),岡部誠(静岡大学)

概要
近年,アニメーションやゲームなどのコンテンツ産業において,高コストな作業の1つに背景グラフィックの制作がある.我々は写真をイラスト化することで,効率良く背景グラフィックを制作し,制作現場におけるコストの削減を目指している.写真のイラスト化は,画像のスタイル変換と呼ばれるCG分野における伝統的な問題の1つであり,近年では深層学習を用いた手法が盛んに研究されている.しかし,我々が確認した限り,これらの既存手法ではイラスト化の結果に必ずアーティファクトが発生してしまった.そこで本研究では,写真のイラスト化のための全自動の技術ではなく,コンピュータとユーザが共同作業をしながら目標を達成するための新たなワークフローを提案する.複数のスタイル変換技術を,ユーザがペイント操作で入力する情報と共に利用することで,元の写真のエッジを保存しつつ,イラスト特有の色調やテクスチャを写真に適用することができる.提案ワークフローにより様々なデータセットにおいて良好な写真のイラスト化が実現できたことを示す.また,既存手法単体での結果と比較することで提案ワークフローの優位性を示す.

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[P21] 深層学習を用いた任意画像に対するトーンカーブ推定

*井上和樹(早稲田大学)、山口周悟(早稲田大学)、中塚貴之(早稲田大学)、森島繁生(早稲田大学)

概要
SNS や画像を共有するコミュニケーションが普及する につれて,専門的な作業であった画像編集はプロの写真家 だけでなく一般ユーザにとっても身近な存在となった.こ の背景として,スマートフォンの画像編集アプリケーションが発達したことで,画像の編集が容易になったことが挙 げられる.これに対し写真家やデザイナーといったエキス パートのように,原画に対しより詳細な編集を必要とする 場合がある.しかしながら撮影した写真を効果的に編集し たい一般ユーザが多く存在する一方で,専門家による複雑 で煩雑な画像編集を一般ユーザが模倣することは困難であ る.その理由の一つとして,公開されている画像のほとんどは既に編集が行われた状態であり,編集前後の画像を一 般ユーザが比較することができないことが挙げられる.本稿では,畳み込みニューラルネットワーク (CNN) を 用いて編集された画像の編集内容を推定する手法を提案す る.提案手法では未編集画像を用いず,既編集画像のみから編集内容を推定することを目的とする.したがって既編 集画像のみが手元にある場合でも,その編集内容を推定す ることが可能となる.

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[P22] SVMによるアニメキャラクタの顔に対する作画崩壊の判別

*櫻井惇(東京理科大学),石川知一(東洋大学/ドワンゴCGリサーチ),亀田裕介(東京理科大学),松田一朗(東京理科大学),伊東晋(東京理科大学)

概要
作画崩壊とは一般的に,「デッサンやパースが狂っている,人物間や建造物との身長や大きさの比率がおかしいなど,非常に低クオリティの映像が放映された際に,それを指していう言葉」とされている.この現象が起きる主な原因は,アニメーション制作の過密なスケジュール,人件費削減のため作画工程を海外に発注することにより,作画のクオリティ管理を行うはずの作画監督の指示やチェックが行き届かなくなり,崩れた作画が容認されることである.本研究では,消極的,否定的な意味合いで用いられるこの言葉に着目した.アニメキャラクタの顔に注目し,見本画像と大きくずれている場合を作画崩壊として扱い,作画崩壊の判別させることを目的とした.作画崩壊の判別をさせるために,アニメキャラクタの画像から顔を構成する要素の二点間の距離の値と角度の値を特徴量として抽出し,それらを用いて, Support Vector Machine により学習させ,識別器の作成し,アニメキャラクタの顔に対する作画崩壊の判別を行った.同一キャラクタならば,識別精度90%程度の結果が得られた.

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[P23] 深層学習を用いた織物パターンのアーティファクト除去

*小針和也(山梨大学), 豊浦正広(山梨大学), 五十嵐哲也(⼭梨県産業技術センター), 寺田貴雅(山梨大学), 茅暁陽(山梨大学)

概要
ジャカード織物のパターンに発生するアーティファクトは手作業で除去され,その作業負荷は高い.本研究はこの問題を解決するため,深層学習を用いてアーティファクトの除去を自動で行う手法を提案する.アーティファクト除去に際しては,当該箇所のみを検出して修正し,他の領域はパターンを変化させないことが求められる.我々はU-Netと呼ばれるネットワーク構造を導入することで,入力画像の構造を保存しつつ,効果的なアーティファクト除去を実現した.アーティファクトを手動で修正したデータの収集は難しいために,アーティファクトのない完全織物パターンに一定確率でランダムにアーティファクトを付与する独自のデータ拡張法を導入して,深層学習を可能にした.実験では,提案手法によるアーティファクトの除去精度を確認し,手法の有効性を示す.

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[P24] パーツ配置より似顔絵に対する類似度と誇張度の影響に関する検討

*戴 旭東(東京工科大学), 安 光明(東京工科大学), 渡辺 大地(東京工科大学)

概要
画家は似顔絵を描く際に,一般的に3つのステップがある.まず,観察による被写体の顔が分析され,顔タイプの確定と各パーツの位置の再配置を行う.さらに,確定された位置に新しいパーツを書き換え,最後に色色塗るというのが手書き似顔絵の手順である.本研究は手書き似顔絵手順第一段階の観察をコンピュータ上で実現し,異なる顔に対し,最適な再配置方法を提案する.

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[P25] 線画キーフレームの 3 次元投影による対応線決定手法

*藤田 正樹(東京工業大学), 齋藤 豪(東京工業大学)

概要
手描きアニメーションには3DCGと比べて画面を直接描くことのできる表現力の高さという利点がある。しかし、手描きによるアニメーション制作には大きな人手・時間がかかる点が課題となる。本研究ではコスト削減のためのアニメーション自動化を目指し、キーフレーム間の対応線自動決定手法の提案を行う。提案手法ではユーザが描いたキーフレームに対し描く物体の位置と方位を付加し、それを手がかりとしてユーザが意図した物体の表面形状を推定する。推定された共通の表面へと線画を投影することで、線画内の線同士の類似度を3次元空間内で計算する。

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[P26] ディープラーニングを用いたCGレンダリング手法が有する写実的表現能力の定量評価フレームワーク

*佐藤 正章(関西学院大), 井村 誠孝(関西学院大)

概要
コンピュータグラフィックス(CG) においては様々なレンダリング手法について研究が行われてきた.しかし,レンダリング手法の写実的表現能力を定量評価する方法は確立されていない.本研究では,CG のレンダリング手法が有する写実的表現能力をディープラーニングを用いて定量的に評価するフレームワークを提案する.

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[P27] 深層生成モデルを用いた顔方位変換画像生成手法

*森川将平(東京工業大学), 齋藤豪(東京工業大学)

概要
生成モデルを用いた顔方位変換にはいくつかの研究が存在するが、横顔から正面顔のように特定の変換を行う限定的な手法が多く、任意の方位へと連続的な変化が可能な変換は行なわれない。任意の顔方位変換のために条件付き画像生成モデルが手法の一つとして挙げられるが、従来の教師あり条件付き画像生成モデルは連続的に変化する属性ラベルを扱っておらず、教師なし条件付き画像生成モデルは離散または連続条件変数を後天的に獲得するものの、学習の段階で条件変数がどのような変換に対応するかが未知であるといった問題がある。そこで本稿では連続量ラベルとして顔方位情報を用い、入力条件によって生成画像を制御する教師あり条件付き画像生成モデルの構築を試みる。

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[P28] FCNによる文書画像の平面化処理ための領域分割に関する実験

*林揚彬(東京工科大学), 渡辺大地(東京工科大学)

概要
近年,デジタルコンテンツ市場は飛躍的に成長しており,古書をデジタル化し,活用するというニーズが高まっている.曲面上の情報に対して,直線検出や OCR(光学文字認識) などの処理を行うと,精度が低下するだけでなく処理自体が困難になると考えられる.そのため,従来の認識手法を行う前に,画像の平面化処理が必要となる.平面化処理のための領域分割は必要なステップである.これを実現するアプリケーションとして,撮影された四角形文書の領域を検出することができるが,書籍の見開き状態の画像には対応できない.まだ,右ページと左ページの分割することができない.本研究では,ディープラーニングによる領域分割に着目した.FCN(Fully Convolutional Networks)[2]は画像から物体をピクセル単位で予測をするネットワークである.本稿では,FCNを構成し文書領域分割の実験を行った結果について報告する.

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[P29] 顔の特徴点に基づく手描きと3DCGアニメーションの顔の特徴比較

*山川圭介(東京工業大学), 齋藤豪(東京工業大学)

概要
手描きアニメのキャラクタは、3DCGとは異なる顔の描画をされることが多いが、その描画法を具体的に説明することは難しい。そこで本研究では、手描きのキャラクタの顔画像と3Dモデルの顔の投影像の比較から手描きのキャラクタの描画法の特徴を分析する。手描きのキャラクタの顔画像と3Dモデルの顔の投影像に特徴点を入力し、特徴点間の方角に基づいて作成された特徴量に対してNMFを用いて次元縮退を行った。次元縮退後の特徴量が顔画像においてもつ意味を分析し、この特徴空間で手描きのキャラクタの顔画像と3Dモデルの顔の投影像の分類に有効な特徴量を発見した。また、それぞれの顔画像群から作成した各特徴空間から顔の向きを変化させる特徴量を選択し、変化の様子を観察し比較することで手描きのキャラクタの顔の動きを説明した。

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[P30] 対訳無し学習による和文フォント画像間のスタイル転写

*酒井洋樹(芝浦工業大学), 新野大輔(芝浦工業大学), 井尻敬(芝浦工業大学)

概要
フォント制作では,デザイナは一貫したスタイルをイメージしながら一文字ずつ字形を作成する必要がある.特に,和文フォントは約3万文字の漢字を含むためその製作は手間のかかる作業である.そこで本研究では『和文全文字を含む既存フォント』と『文字数の限定された新規フォント』からスタイル転写を学習し,全ての既存フォントに得られたスタイル転写を施すことで全文字のフォントを生成する手法を提案する.この手法に対し,有用性の確認と新規フォントの数がスタイル転写に及ぼす効果について検証するための実験を行った.

プラチナ・スポンサー

ゴールド・スポンサー

ニュース

  • 2018年6月23日 VC 2018は大盛況のうちに閉会いたしました. ご参加、誠にありがとうございました
  • 2018年6月19日 山形市内の大学生・高校生の皆さまは特別講演(一部)を無料でお聞きいただけます (詳細)
  • 2018年6月12日 ポスター発表のプログラムを公開いたしました (詳細)
  • 2018年6月1日 口頭論文発表のプログラムを公開いたしました (詳細)
  • 2018年6月1日 参加申し込みを開始いたしました (詳細)
  • 2018年5月18日 招待講演のプログラムを公開いたしました (詳細)
  • 2018年3月9日 暫定版のプログラムを公開いたしました (詳細)
  • 2018年3月6日 採択された技術論文のうち,希望者については画像電子学会の論文誌に推薦します (詳細)

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